みなさん、こんにちは。
Alut(@alut_123)です。(`・ω・´)
今回は以前のラスターレイヤーとベクターレイヤーの比較と引き続き、クリスタのレイヤー機能について書いていきます。気づいたら長くなってしまった。お時間のある時に読んでいただけると。
今回の記事について
今回の説明対象は、イラストを描く時に頻繁に使うと思われる合成モードの以下3つについてです。自分の中の整理も兼ねて書いていきたいと思います。
<対象合成モード>
- 乗算
- スクリーン
- オーバレイ
これを見ているあなたも、この記事を読んで何かしら役に立つことがあれば嬉しいです!
前のラスター、ベクターはまだいいけど、この合成モードあたりになってくると、いよいよ頭がクルクルパーになってくる
たしかに試しに使ってみても??ってなることも多くて、どう使っていったら思った色になるんだろうって思うこと多いかも
でも、頭がクルクルパーなのは元からではないの?
なんかよく分からないけど、疑いの目を感じる・・・
それでは、各合成モードの説明に入りたいと思います。
合成モードとは?
乗算などの説明に入る前に、そもそも合成モードとは何か?から簡単に書いていきたいと思います。
ラスターレイヤーとベクターレイヤーの比較記事でも書きましたが、イラストを描く時には複数枚のレイヤーが、重なった状態になることがあります。
レイヤー自体の設定として”合成モード” というのがあるのですが、何も設定せずに使用していると、この設定は”通常”となっており、対象のレイヤーより下に存在するレイヤーについては、描画箇所が被っていると見えなくなります。
言葉にするとこの時点で分かりづらいわね。
下にそれぞれ説明の図を貼っておくね。
ピンクと青の四角で説明すると、両方とも合成モードを“通常“とすると重なった以下の部分が隠れてしまいます。
合成モードを全部”通常”にしてしまうと、とても描き辛くなってしまうので、これから紹介する乗算モードなどで効果をつけて、いい感じの効果をつけていきます。
乗算モードについて
さて、最初は乗算モードについてです。
まず、乗算ってそもそも何?掛け算?
数学?的には合ってるけど、ここではそうじゃないわ。
合っていると言えば、あってるのだけど・・・
少し説明するわ。
乗算モードにすると、乗算モードのレイヤーの色とその下にあるレイヤーの色を“掛け合わせて“描画されます。“掛け合わせ“が実行される乗算モードを使用すると、色は暗い色へと変化します。
乗算については影を塗る際に比較的よく使われる印象があるわ。あと、グリザイユとかで描く時もね。
さて、ではなぜ乗算モードで、色が暗くなるのかと言う理由ですが、個人的に気になったのでググってみました。
以下サイト様でクリスタではないのですが、Photoshopでの内部処理の計算方法について、ご説明があり以下のようになっているそうです。クリスタの内部処理については不明ですが、おそらく似たような処理でしょう。
結果色=基本色×合成色/255
記載元
dwango creator’s blog 様
なんとなく、からぬけだそう。知っておきたい描画モードの仕組み
http://creator.dwango.co.jp/11568.html
式はわかった!
けど、何してるのか、何を意味しているのかわからん!!
これはダイイングメッセージなのかっ!!
はぁ〜
ちょっと脱線しちゃうけど、色の描画も含めて説明するね。
PC上の色の描画について
イラストを描いたり、デザインしたりとPC上で色の設定を扱うことが多い方はご存知かも知れませんが、色の表現方法にはいくつかありますが、そのうちの1つにRGBというものがあります。
RGBとは、色の要素を大きく
- R:Red(赤)
- G:Green(緑)
- B:Blue(青)
の三要素に分け、それぞれの色を混ぜた結果を最終的な色として出力する表現方法です。ちなみに赤、緑、青のすべてが重なると白になります。
ここで、それぞれRGBに色の設定があり0〜255の256段階で表現されます。
この値が実際の色の描画にどのように繋がるかというと、0に近いほど黒に近くなり、255に近いほど白(それぞれの色がつく)に近くなります。
なので、例えば(R,G,B)(255,0,0)であれば、真っ赤の色として描画される形となります。
さて、ここで話を乗算モードの描画計算式に戻しましょう。
“合成色/255“であることから基本色に掛けられる値は0〜1の範囲までとなります。これより、乗算モードで合成した場合は、絶対に基本色よりも明るくなることはない。ということがお分かりかと思います。
以上から、乗算モードを使用すれば、少なくとも元のイラストの色よりは明るくはなりません。このため、暗い色を入れることになる影の描画によく使われる。ということなんですね。
※上の画像ですが誤りがございました。0≦合成色≦1については、正しくは0≦合成色/255≦1となります。
ということよ?わかった?
・・・(チーン)
ああ、耐えられなかったのね。
本当に計算通りになるのか実験!
と言うことで、本当におおよそ紹介した通りの挙動となるのか気になったので確かめて見ました。
確認の流れとしては以下の流れをとって見ます!
- 乗算を掛けるイラストの(R,G,B)を確認
- 乗算モードにするレイヤーの(R,G,B)を確認
- この時点で、結果色の(R,G,B)の値が予測できるので予測
- 実際に効果をかけて見て確認!
それではLet’s Go!
乗算を掛けるイラストの(R,G,B)を確認
さて、今回実験対象とするイラストはこちら。袖の部分の色を試しとしてスポイトしました。値としては、以下となってますね。
(R,G,B)=(67,70,185)
乗算モードにするレイヤーの(R,G,B)を確認
次に、乗算モードとして掛けるレイヤーの作成です。今回は確認のためなので、確認が簡単になるグレーのレイヤーを作って試して見ます。ちなみに、値としては、以下になってます。
(R,G,B)=(100,100,100)
結果色の(R,G,B)の値を予測
ここまでで、(R,G,B)の基本色と合成色の値が出ましたので、それぞれ乗算後の値を予測して見ます。
- R:67×100/255 =26.27
- G:70×100/255 =27.45
- B:185×100/255 =72.54
それぞれ計算してみると上のような値となります。ここで小数点以下の値については切り捨てなのか、四捨五入なのかは不明なので、一旦、四捨五入の想定でいきましょう。この想定だと、乗算後のイラストの色については、以下のようになるはずです!
(R,G,B)=(26,27,72)
さて、ではお楽しみの実測です!
実際に効果をかけて見て確認
それでは、実際に今までの条件で乗算の効果をかけたものを確認してみます。
はい、少し見づらいですが想定結果通りの値で描画されてますね。
(R,G,B)=(26,27,72)
このことからクリスタでの乗算モードについてはPhotoshopと同一の処理が実施されていることがわかります!ちなみに、小数点以下は四捨五入されているのか、切り捨てなのかはわかりませんでした。よく考えたらサンプルにした値がどちらの方式であっても同じなので、例としてはよくなかったです・・・
スクリーンについて
次の合成モードはスクリーンです。
簡単に言ってみれば、乗算の効果とは逆で色が明るくなります。
へー。じゃあ、さっきの乗算と同じで計算式もあったりするの?
あったりするよ!ただ、またここに載っけると他サイト様の情報を毎度毎度コピペしているみたいになってしまってよくないので、先ほどのサイト様を見て欲しいかも
りょーかい。確かに、我が物顔で他サイト様の情報を書くのはよくないものね。
と言うことで、乗算と同様にスクリーンモードでの合成結果について、計算式を理解した上で使いたいと言う方は、乗算のところで記載させていただいたサイト様にアクセスしてご確認ください。
ただ、このまま乗算の逆ですよ。と言って終わりにしてしまうのも寂しいので、スクリーンをかけるとこんな感じになりますよ。って例を貼って見ようと思います。
- 元のキャラの全体を複製して1枚のレイヤーに統合
- 統合したレイヤーを元のキャライラストの上にスクリーンで効果つける
- 透明度の調整をしていい感じにする
とすると、元のイラストからちょっとだけエモい感じになります。これ知ったとき、結構びっくりしました。
これを元のキャライラストとすると
キャラクターイラストを複製して、1枚のレイヤーに統合。統合した後にレイヤーの合成モードを“スクリーン“に変更。
お好みの感じになるように、レイヤーの透明度で調整。
オーバレイについて
さて、最後にオーバーレイの合成モードについてです。
ふふ、なぜこのモードを最後に持ってきたかわかるかな?
いえ、わからないのだけど・・・・
うわ、なにこのノリ・・・
きっと“乗算とオーバーレイの二つの特徴を持つのだよ“とかドヤ顔で行ってきそう・・・
そうだろう、そうだろう。実はオーバーレイは先に説明した2つの合成モード、乗算とオーバーレイの特徴を持つのだよ!!
やっぱりっ!単純すぎて辛い・・・
けど、単純だと言うとこの先が面倒になるからな・・・
えーー!?そんなことができるのっ!?
びっくりするでしょ!それを今から説明していこう!
・・・
では、オーバーレイの説明です。茶番の中にもありましたが、オーバーレイについては、乗算とスクリーンの効果が同時に行われます。ここの効果の処理については、自動で行われているのですが、感覚的に捉えると以下となります。
- 元イラストの暗い箇所 →乗算
- 元イラストの明るい箇所 →スクリーン
ちなみに、ここの具体的な計算についても、前で記載させていただいたサイト様で紹介されております。
その内容を拝見すると、Photoshopの場合だと乗算かスクリーンかの分岐となる値については、128であると記載されております。
おそらくクリスタについても、似たような値で基準が設定されていると思われます。(未調査なのでなにも保証はないですが、個人的にはクリスタも同値が基準に設定されている気がします。)
なので、おおよそ基本色の値によって以下のように効果が変化します。
- 基本色<128 → 乗算
- 基本色≧128 → オーバーレイ
おわりに
今回はクリスタで利用するレイヤーの合成モードの説明でした。乗算、スクリーン、オーバーレイについてはよく使うと思いますので、漠然とでも違いを知っておくといいかと思います。
まぁ、本当に大事なのはイラストを描く中で、自身の思った通りにイラストを書けるように使用できることなので、細かいところは正直そこまで必要ないのでは?とも思いますが・・・
正直、ここの管理人はこう言う細かいところ調べるの割と好きだから調べているだけだしね。
気になっちゃうと解決しない間はずーっと頭にこびりついて・・・
まあ、調べることは悪いことではないと思うからいいんじゃない。
それでは、今回はここまで!次の記事もお楽しみに〜!!
【参考サイト様】
dwango creator’s blog 様
なんとなく、からぬけだそう。知っておきたい描画モードの仕組み